「岩画(がんが)」とは、人類が石器や金属器で硬い岩石を彫り、描いた絵である。
北方ユーラシアに広く彫られた岩画は、1万年以上前から2~3千年前までのものが多数見つかっており、ユネスコの世界文化遺産に登録されるほど重要な文化資源である。しかしながら、外国人が調査に入りにくい場所にあることが多く、日本国内ではほとんど知られていない。
当館では2022年、現在のモンゴル国・アルタイ山脈及びゴビ砂漠に存在する岩画の企画展を開催した。これに続き、本展では現在のロシア連邦ハバロフスク地方シカチ・アリャン村に現存する岩画を主に紹介する。
ユーラシア最大級の岩画である「アムールの大角鹿」をはじめ、厳しい大自然の中で古代の人びとが接した動物や狩猟の様子、人面画、シャーマンが描かれている。また現在の中国・内モンゴル自治区に位置する陰山山脈には、龍の起源と目される岩画が存在する。
岩画の拓本や現地の写真を通して、古代の人びとの世界観や自然に対する想いを見つめるきっかけになれば幸いである。