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CACA現代アート書展
2013.9.10→9.15
アートスペースリビーナ
CACA現代アート書作家協会の準会員以上31名の少字数、多字数、平仮名、詩文、抽象、版画書など個性的な力作が並びました。
「個性豊かな作品から元気をもらいました」「生の喜びのようなものが沸き上がってきます」「従来の書の概念がすっとんだ」「どれも個性的でチャレンジ精神に圧倒されました」といったたくさんの感想が寄せられました。御礼申し上げます。
今年のCACAは7月鳥取、10月京都と書アートの最前線をかたちづくるより大胆な作品を発表しておりますが、9月のCACA展は筆と墨をベースにした書の基本をコンセプトにしております。
来年はCACA設立5周年を迎えます。より個性的で充実した表現をめざして皆さまのご期待に応えたいと念じております。
~受賞作品~
☆CACAアートスピリッツ賞・アートアピール賞
「源氏物語」 子安閑音
1枚の大作を書くのに丁寧に墨を磨り、3時間をかけて書いた分、作者の想いの深さと情感の細やかさが伝わってきます。作品はウソがつけませんね。
人の見えないところでもひと手間を惜しまず、作り込むことをあきらめない敢闘精神で制作してきた貴女の長年の職人気質が、ここに至って筆で実を結んだ感があります。
☆CACAアートフロンティア賞「自立」 小林麻子
これまでの作風とは打って変わってシンプルでダイレクトな直線的表現は空間を響かせています。
あたかも何か迷いが吹っ切れたような筆力の強さと線のシャープさは自らの新境地を開拓しました。そのリスクを恐れない挑戦意欲を讃えます。
☆CACAアートフロンティア賞「綿雲」 吉野大遊
独自の作品世界と境地をゆるぎないものにしつつあります。それはこれまでのあくなき好奇心と研究心のたまものです。そして継続する気持ちを忘れなかったことです。
貴女の線の中には人マネではない景色があります。物語があります。そして詩があります。まるで手織り木綿のような手ざわりに温もりが宿っています。
☆CACA特別顧問賞「闇」 安藤破竹
フレキシブルでモダンな感性を文字の中に封じ込めたところに意義があります。ほとばしる情念と情緒が交錯しているさまは理性と本能の衝突でもあります。
さらに内向していくであろう深まりはきっと書と絵画の融合する新たな墨の世界だろうと期待します。
☆CACA特別顧問賞「大地」 松尾蒼林
古典的な北魏の筆法をほうふつとさせながらも最後まで線の貫通力は衰えず、躍動する文字群を生み出しました。
詩文という、しかも共通の記憶を呼び起こす難しい内容をもつモティーフを感情に流されず知性の範囲でよくコントロールしました。
☆CACAアート奨励賞「命薬」 長田風虹
篆書というきわめてフォーマルで造形化しにくい書体に挑戦した意欲を賞します。線は肩の力を抜いた自然体で引かれており素直なリズムと柔らかさがあります。
造形性というよりは線の流れを中心に書の大切な表現要素である大らかさを引き出しました。
☆CACAアート奨励賞「海」 山本順子
多様な線の展開と構築性のある造形的バランスを調和させました。
とくに呼吸感のある線の集合はビジュアルな風景を想像させます。